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2024年度卒業証書授与式 理事長 式辞

 厳しい冬が続く中で、先週あたりから玄関横の紅梅が咲いているのを見て、春は確実にやってきていることを感じております。

 須磨学園高等学校・中学校、中高一貫16期生の皆さんならびに高等学校入学24期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 皆さんが歩んできた6年間、あるいは3年間は、振り返ればあっという間だったかもしれません。この間、学びの楽しさを知り、多様な価値観に触れ、そして自己を律する力を磨いてきたことでしょう。とりわけ、新型コロナウイルスの影響で遠隔学習を経験するなど、困難な状況の中でも柔軟に対応し、「まずはやってみる」ことの大切さを身をもって経験してこられました。私は常に、皆さんが前向きに努力し、成長していく姿を見て深く感銘を受けてきました。皆さんはとてもまぶしかったです。

 これから皆さんは、人生の大きな「岐路」に立つ場面に直面されることになります。右の道を行くか、左へ行くのか、それとも全く新しい道を切り開くのか――その選択は、皆さんがどのように生きていきたいかを決めることにほかなりません。経済的な豊かさを求める道を行くのか、充実感を大切にする道を行くのか。人とのつながりを大切にする道を行くのか、名声や栄光を追求する道を行くのか。それとも、自分の心の声に従い、自らの信念を貫く道を選んでいらっしゃるのか。

 どの道を行くにしても、大切なのは「自分の意志で考えて決断すること」だと思います。他人の意見に流されるのではなく、自ら考え、納得のいく選択をしていただきたいと思います。人生において、ただひとつの正解はありません。それぞれの価値観や生き方に基づき、選んだ道こそが、その人にとっての正解なのです。

 私自身も、人生の節目節目で選択を迫られてきました。振り返れば、選択の余地がないことも多かったのですが、自分で決められるときは、たいてい「面白そうな道」を選んできました。その理由は単純です――「面白い人生だったな」と笑って人生を終えたいからです。根拠のない自信も手伝って、「なんとかなるだろう」と思いながら進んできました。もちろん、苦しいことや悲しいこともありましたし、「もうダメかもしれない」と思うこともありました。しかし、今となってはどれも、かけがえのない貴重な経験だったと感じています。皆さん、どんなにつらい経験であったとしても、無駄な経験というのはありません。必ず皆さんの糧となります。

 皆さんには、自分自身の頭で考え、納得のいく選択をしていただきたい。そして、たとえ失敗したとしても、「自分で決めたことだから後悔はない」と思えるような人生を歩んでいただきたいと思います。

 これからの人生が、皆さんにとって実り多く、素晴らしいものとなりますように。

2025年3月1日 理事長 西 泰子