中高一貫16期生の皆さん、共学24期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。教職員一同、皆さんの晴れの日を心から誇りに思い、祝福いたします。
保護者の皆様、ご子息・ご息女のご卒業、おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。またこれまで本校教育に対するご理解と、多大なるご支援・ご協力を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
さて卒業生の皆さん、皆さんが過ごしてきたこの丘の上での6年、または3年の学校生活はいかがだったでしょうか?様々な思いが今、頭や心を駆け巡っていることと思います。思えば3年前の入学の時点では、コロナウイルスによる感染症拡大がある程度収束に向かいながらも、まだまだその影響が残存していたこともあり、学校生活において様々な制限が随所に見られるという状況がありました。
そのような状況下ではありましたが、皆さんは懸命に前を向いて歩んできました。皆さんのこれまでの着実な歩みと、今の凛々しい姿を私たちは心から誇りに思います。
さて、3年前の入学式、この場所で皆さんに伝えた言葉を覚えているでしょうか?それは、『清く・正しく・たくましく』という言葉です。この言葉は、須磨学園の建学の精神であり、私が個人的にすごく好きな言葉として紹介しました。皆さんには須磨学園生としての誇りを持ち、清く・正しく・たくましい人に成長してほしいと期待してこの言葉を贈りました。その思いは今も同じです。
これからも『清く』生きていく人であるために、他者への思いやりや感謝の心、そして素直に感動する心をしっかりと育んでください。当たり前のことですが、人は一人だけでは絶対に生きていけません。この世の誰もが、誰かに支えられ、誰かを支えて生きています。この須磨学園での生活においてもそうだったはずです。周囲の支えを当たり前だと思うことなく、感謝の気持ちをもって、これからの人生の糧とするべく今日のこの節目に当たり思いを馳せてほしいと思います。そしてこれからもいかなる場面においても、ありがたいことはありがたい、素晴らしいものは素晴らしいと素直に感動することのできる心を涵養してくれることを期待しています。
そして『正しく』生きていく人であるために、「考える」ことから逃げないで下さい。これからもあらゆる場面において、自身のあるべき姿、正しい姿勢とはいかなるものであるのかについて、真摯に向き合って考えてください。自らが物事にどのような姿勢で臨むべきか、それぞれの場面においていかなる言動をするべきか、ということについて常にしっかりと考える習慣を育んでください。ものごとを表面的に、かつ文字通りにとらえているだけでは苦難を乗り越えるために求められる正しい判断がかすんでしまいます。いかなる時にもしっかりと「考える」ということを心がけてください。
さらに『たくましく』生きていく人であるために、いかなる勝負においても、絶対に「勝つ」ことをあきらめない人であってほしいと思います。これから皆さんは幾多の勝負に挑むことになります。いつも言ってきたことですが、挑むと決めたならば、どんなに厳しい状況であっても「勝つ」ためにどうあるべきか、何ができるかを徹底的に追求してください。そのような強い信念で勝負に挑んだ者こそが、勝負における勝ち負けという結果を超えた本当の「価値」を見出すことができるのだと確信しています。
これからも様々な苦難が君たちを待ち受けているでしょう。そんな時でも、この6年または3年の学園生活において「毎日長い階段や坂を上ってきたこと」「厳しい授業やたくさんの課題に耐え抜いたこと」「文化祭で時には友人とぶつかりながらも素晴らしい作品を作り上げたこと」「体育祭で学年やクラスの垣根を越えて声を枯らしたこと」「研修旅行で日本の古都や現在の首都についてたくさんの発見をしたこと」「世界の様々な場所でたくさんの本物に触れて感動を見出したこと」「海外の方々と積極的に交流して、かけがえのない友情を育むことができたこと」「平和学習で原爆・戦争の悲惨さに向き合い未来の平和に思いを馳せたこと」「夏の暑い中、冬の寒い中でも、朝早くから夜遅くまで、そして休日にも特別講座や部活動に参加して努力を続けてきたこと」、さらに「今までの友人との何気ない語らい」や「高校卒業の日を迎えて、今まさに心に抱いている思い」…これらすべての宝を、必ず将来の糧にしてください。
この丘の上には、皆さんが確かにかけがえのない時を過ごした学び舎が、これからも、いつまでも、ずっと… 君たちを見守っているということを、これから先も心の支えにしてください。それぞれの「なりたい自分」が、大いなる光を放ち、未来の社会や世界を明るく照らしてくれる日々が訪れるとき、この丘の上の母校はその光によってさらに輝きを増すことでしょう。ぜひ母校を明るく照らす存在であり続けてください。
今後いかなる時も、須磨学園卒業生という誇りを胸に、建学の精神の通り、『清く、正しく、たくましく』、社会で、そして世界で、それぞれの“to be myself. . .”の続きをしっかりと描き続けてくれることを、心から、心の底から期待しています。今日の帰りには、学園の創立100周年を記念して玄関前に移設された校祖像に刻まれた建学の精神を目に焼きつけて、胸に刻んでおいてください。そしてこの丘の上からの、はるかなる海を見渡す壮大な景色を目に焼きつけておいてください。それではこれからも体に気をつけて、大切な人生を、自分の可能性を思いっきり楽しんでください。
2025年3月1日 須磨学園高等学校 校長 堀井 雅幸